そんなギモンにお答えします。
外科志望医が初期研修で内科をおろそかにしてはいけない理由
それは
- 内科を研修する機会は、初期研修期間のみ
- 外科医でも、内科の治療を行う
からなんです。
詳しく説明します。
内科研修の機会は初期研修限定
もちろん、今後の医師生活で、内科の勉強をしないわけではありません。
しかし、外科医に進む場合、じっくりと内科の基礎を学ぶのは、
基本的に初期研修の期間だけです。
外科医でも、内科の治療が必要
![薬の写真](http://kirakiralion.com/wp-content/uploads/2022/08/b0af76f501812f34b55ab0f8846ed7a1-e1662741732643.jpg)
脳神経外科入局例
例えば、脳神経外科に入局すると
言わずもがな、脳神経外科の基礎や臨床を学ぶことになります。
上級医から学ぶことと言えば、主に脳神経外科の内容(解剖、診断、治療、手術)です。
よって、内科について、専門的に学ぶことはほとんどない。
(し、基本的に教えてもらえない!!)
しかし、内科の知識は必須です。
例えば、
80歳脳梗塞患者の主治医となったとしよう。
脳梗塞に対する治療は保存的加療。
入院中、患者が肺炎となり治療が必要になった。
点滴オーダーできますか?
絶食にしたとき、輸液の種類・回数は?
喀痰の培養を出して、敗血症疑いなら血液培養をして、
抗生剤の種類は?用量は?どうしますか?
脳卒中入院患者に多い内科的合併症
- 肺炎
- 尿路感染症
入院中脳卒中患者の約85%に合併症を認め、呼吸器感染症22%、尿路感染症24%が多い。
理学療法兵庫 No.26 20-28 (2020)
です。
これらに対して、自ら治療を行うことになります。
高齢患者であれば高頻度で感染症の治療が必要になり、
自分は内科医なのかしら、と思うほどです。
もちろん、肺炎による心不全、血糖コントロール等
他科にコンサルトし、専門的に治療を行っていただくことも多いですが、
初期対応は主治医になります。
後期研修医であれば、まだ内科的管理に不慣れなこともあり、
上級医から、点滴の指示もいただくでしょうが、おおまかな内容だけです。
自分で勉強する必要があるんですね。
また、脳卒中発症予防としては、
血管危険因子、つまり、高血圧、糖尿病、脂質異常症の管理・治療介入となり、
どのような薬でどの基準値でコントロールするかを知らないといけない。
だから、ある程度、内科研修で基礎知識・重要ポイントをおさえておく必要があるんです。
内科で習得すべきポイント
![電球の写真](http://kirakiralion.com/wp-content/uploads/2022/08/8129038d0c4f6756177e2f5429a9fd81-scaled-e1662741540831.jpg)
内科にもいろいろな専門分野がありますが、それらを事細かく学ぼう
というわけではないのです。
まずは、救急科でも大事にされる『ABCD』をおさえましょう。
ABCDとは
- A:Airway気道
- B:Breathing呼吸
- C:Circulation循環
- D:Dysfunction of CNS意識
具体的に学ぶこと
A気道確保
挿管を含む気道確保
B呼吸管理
呼吸数
視診・触診・打診
聴診の仕方・評価
動脈血液ガス分析
経皮的酸素飽和濃度
画像評価
呼吸器の設定法
C循環管理
血圧・脈拍数などバイタルサイン
血液循環量、In・Outのバランス
心電図の読み方
輸液の種類・量
栄養管理
血液データ分析
肝機能・腎機能評価
電解質異常
血糖コントロール
D意識評価
意識評価
神経診察
画像評価
+α
体温管理
感染症に対する抗生剤
薬の知識
疾患ごとの診断・治療
これらが全てではありませんが、参考にしてください。
自分のノート・iPad管理
![自作ノート作成中](http://kirakiralion.com/wp-content/uploads/2022/08/c794c3097f8790e052c83254ccb5a64e-e1662742336326.jpg)
内科で必要な基礎知識を自分なりにまとめましょう。
手書きでもデジタルでも何でも構いません。
例えば、輸液の組成は、テキストやリーフレットに種類ごとにまとめた表があります。
高頻度に使う薬の種類・用量など。
貼り付けていきましょう。
自分ノート作成をオススメしますが、テキストへの書き込みでもOK。
研修し新たな学びがあれば、どんどん追加していきましょう。
プロブレムリストの作成
私自身、内科を研修し、”論理的に考えること”を学びました。
それを深め、考えることがおもしろければ、内科向きでしょうか。
何科においても、このプロブレムリストは大事です。
患者さんの問題点を列挙・整理し、詳細に書き出します。
この、プロブレムリスト作成の練習をすべきです。
はじめは、上級医に教わりながら、自分で作成してみて、添削していただきましょう。
アドバイス
![アドバイスをしているところ](http://kirakiralion.com/wp-content/uploads/2022/08/51e50c1267e462b7174effac380edcc4-e1662742072849.jpg)
初期研修で内科をしっかり学ぼう
外科に興味があって、志望科を長期履修したい!
気持ちはわかりますし、必須科目を修了していれば、ローテート先選びは自由です。
ただ、
初期研修では内科をしっかり習得しておくべきなんです。
(入局すれば、選択科は嫌というほど、学べますので。)
過度に心配しなくてよい
上記で、内科での研修がいかに大事かを語りましたが、過度な心配は無用です。
わからないことは調べる・聞く・まとめる。
そして上級医に質問する。
それを続けていけば、経験を積むごとに自分のものになり、
まとめたものを参照しなくても、できるようになります。
また、新たに不明なことが出てくれば、調べればよいのです。
医師としてのモラルを大切に
初期研修で、様々な科をローテートしますが、医師としてはじめて患者さんを担当します。
診療の知識・技術のみならず、患者さん・ご家族・周りの医師・コメディカルへの対応など、
幅広く学び、成長してください。
最後に
初期研修は、志望科以外を学べるチャンス。
色々なことを吸収し、学んでくださいね。