初期研修医あるいは専門科に入局し、今が学びの真っ盛り、手術も救急もよしやるぞ!とパワーみなぎる中。
でも、子どももほしいと考えているが、いつ産むべき?専門医取得が先?と悩んでいませんか?あるいは、医学生で妊娠し悩んでいませんか?
ご自身の年齢やキャリアを分析し、出産も経験できると良いですよね。
この記事では、脳神経外科を例にとり、専門医を軸とした考え方および、女医・医学生の妊娠・出産例をご紹介します。
専門医を取得した後に、妊娠・出産ができれば、いちばん理想的。
なぜなら、受験の資格取得や準備に、”子育て”の関与がないから。
しかし、本当にそれでよいのか?
- 年齢
- 結婚のタイミング
- パートナーの勤務地・異動など
- すぐに妊娠できるとは限らない
- 試験が一回で受かるとは限らない
- 専門医取得が最終目標ではない
などの観点から”受験まで待てない”というケースも当然ある。
妊娠・出産は人生において一大イベントで、受験より優先順位は上回るのではないか。
子育てをしながらの受験は大変だが、後悔しないようによく考える。
産みたいと思ったときが産みどき、と私は思います。
現状はどうなのか?
女性外科医の妊娠・出産に対する意識とその実態に関するアンケート2019によると、理想の出産時期は、専門医取得後、次いで後期研修終了後が多かった。
不妊治療についてのアンケートもなされています>>詳細はコチラ
専門医取得時期
入局後、どの診療科においても、まずは専門医取得を目指す場合が多いかと思います。
脳神経外科の場合、卒後臨床研修2年の後、研修プログラムで通算4年以上所定の研修が必要。
つまり卒後医師になってから7年目に初めて受験資格を得ます。
このことを前提として、いつ出産するのが理想的か、選択肢を考えてみましょう。
出産タイミング選択肢
挙児希望があり、年齢が、高齢出産の範疇に入る35歳以上の場合、キャリアを考えつつも、妊活を始める方がいいかもしれません。
- 専門医取得前の出産
- 専門医試験前後の出産
- 専門医取得後の出産
- その他:医学生・基礎研究医・留学など
1、専門医取得前の出産
△ 育児をしながら臨床をこなし、受験する必要がある。
〇 医学生、初期研修医での出産であれば、ある程度育児が落ち着いてから受験に備えることができる。
A医師
腎臓内科医。初期研修医の時に出産。
初期研修医時は、必須科目を履修するのに苦労したが、妊娠期間中に履修を終了した。
ワーママは大変。
受験勉強は仕事の合間に。
子どもが乳児ほど手がかからない時期に受験できた。
2、専門医試験前後の出産
△ 産後であれば、育児の合間に勉強しなければならない。
(産後直後は、とても大変。)
△ 妊娠中に症例を経験することとなる。(ハードな場面があるかもしれません。
あくまでも体調優先で。)
△ 妊娠中に受験を経験する可能性がある。(体調の心配がある。)
B医師
乳腺外科医。専門医試験前に妊娠。
専門医資格を得るためには、手術の症例数が必要。
大きなお腹を抱えながら手術室に出入りし症例を稼いだ。
出産後のタイミングで受験した。
無理しないで、1年遅らせて受験してもよかったが、2人目も考えていたので、受験した。
3、専門医取得後の出産
〇 受験の準備に、子育ての関与がない。
〇 出産育児に専念できる。
△ 年齢との兼ね合いがある。
私の場合
脳神経外科専門医取得後に妊娠・出産。
メリットは、受験時は、(もちろん臨床業務がハードですが)子育てがない分、試験勉強に打ち込めることです。
しかし、その後サブスペシャリストの脳血管内治療専門医試験は、実技がうまくできず、第一子産後の受験、第二子妊娠中の受験の両方を経験しました。
産後、育児の合間に勉強をしたり、受験時にお乳が張ったり、ハードでした…(涙)。
もちろん、1年保留にして、翌年に受験することもできましたが、医学・治療法は日進月歩、試験内容も変わっていくだろう、ということで受験しました。
試験前後のタイミングを避けたいと思っても、子どもは授かりもの。また、すぐ授かるとも限りません。
受験は乗り越えられます。何度失敗しても諦めない精神で。
キャリアは、専門医取得が最終目標ではないです。
専門医取得後は5年毎など更新が必要で、そのための研鑽・臨床経験が欠かせません。
専門医取得後の出産の場合、事由を提出すれば、専門医が保留となり猶予をいただけることがあります。
専門医の規約を確認しましょう。
4、その他:医学生・基礎研究医・留学時
医学生で妊娠・出産を経験する場合もあるでしょう。お二人をご紹介します。
C医師
社会人医学生で、現役生+10歳上。
医学部2年生で妊娠・出産。
それに伴い、単位習得ができず一年留年したが、その後は順調に進級。
今は精神科医として活躍。
育児しながらの医学生活は、欠席しながらも、なかなか大変。
留年は仕方ない。補習を受け、各テストを乗り切った。
D医師
医学部5年生で妊娠・出産。
現在研修医。周囲のサポートが欠かせない。
ポリクリ(臨床実習)では手術見学時は、よく座らせてもらった。
卒業試験・国家試験は同期と受験できた。
基礎研究医・留学時の出産は、専門医取得のしばりがなければ、受験勉強に対する心構えは不要ですが、留学先特有(不慣れな場所、家族が近くにいないなど)の心配があるかもしれません。
▼大学院在籍中の出産について
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妊娠すると迷惑?思い悩む場合
私自身が悩みました。今の自分の業務を考えると、自分が妊娠すると、誰かが代わりにやらねばなりません。周りに迷惑がかかる。仕事を休めない。
「だから、いま、妊娠すべきではない。」と先回りしていた時期もあります。
同じように思い悩んでいる方へ
そんなときは、こう考えると気持ちがラクになります。
・そもそも入局してなかったら私はココにいない
・入局したから仕事をがんばってきた
・自分の仕事で少しは医局に貢献している
まだご指導を受ける立場でも、仕事をしていることは、少なくとも何らかの貢献をしているのです。患者さんに対しても、医局に対しても。だから胸を張っていいのです。
もちろん、妊娠によって一定期間は、穴をあけることになりますし、体調面で配慮いただく必要も出てくるでしょう。
しかし、医局の所属長は、そういった管理を含め人事采配の義務があります。だからお任せして。何より自分の人生。素直に気持ちに従っていいと思います。
まとめ
あくまでも、産みどきは、個人の年齢、環境によるところが大きく、考え方は人それぞれ!
ご自身の年齢や環境を考慮し、あまり思い悩まず、産みたいと思った時が産みどきかもしれません。先輩やパートナーとも相談してみましょう。
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