書籍・参考書がありすぎて迷う。
どれを買えばいいの?
今回は、脳神経外科専門医の私が実際使用して、今でも役に立っている書籍、研修医にオススメなものを厳選してご紹介します。
良い参考書の選び方
ズバリ、
- 先輩医師の本棚をみる
- 先輩医師に聞く
です!
まずは、医局の脳神経外科先輩(特に憧れの先輩)の机の本棚に並んでいる本をチェックしましょう。
気になれば、いきなり買うでもいいですし、少しの間お借りして中身を見せてもらう、または、図書館で同じ本を借りましょう。中身がよければ購入です。
とは言っても、良書なのかよくわかりませんよね。
不安な場合は、直接先輩医師に聞いてみるのがよいです。
私も、ひとつ上の先輩にオススメの書籍を聞いて、実際にそれを購入しました。たいてい必携書はそれで揃います。
私がオススメする書籍
初期研修医向け
脳神経外科ローテでは、『脳卒中、外傷、脳腫瘍、機能外科、小児、脊椎脊髄疾患など』を学びますが、おさえるべきは脳卒中だと思います。
ですので、脳卒中でおすすめの参考書をご紹介します。
脳卒中ポケットマニュアル
★オススメポイント★
・手持ちサイズでコンパクト
・すぐ調べられる
・よくまとまっている
わからなくて調べたいときに、すぐ見られる。やはり、ポケットサイズは重宝します。
中身もポイントがわかりやすい。コアな画像も載っています。
臨床実践者のための脳卒中画像診断ハンドブック
★オススメポイント★
・脳卒中の画像がメインで学べる
・図がきれいでみやすい
わかりやすい!MRIが読めない、血管がわからない、脳卒中の画像を学ぶならコレでいいです。
ISLSガイドブック
★オススメポイント★
・NIHSSスコアの取り方がわかる
・わかりやすい
日本救急医学会が出版している書籍。
脳卒中を学ぶというよりは、初期対応、脳卒中の神経診断の仕方を学ぶことに焦点をあてており、NIHSSの取り方がいまいちわからない時に役立ちます。
その他
初期研修医向けのその他の書籍は、下記の後期研修医向け参考書を検討されるか、先輩・同期に借りる、図書館で借りる・コピーするで、事足りると思います。
その他資料は下記からダウンロードできます。
・静注血栓溶解(rt-PA)療法 適正治療指針 第3版
脳卒中治療ガイドライン
・経皮経管的脳血栓回収用機器 適正使用指針 第4版
noukessen_4.pdf
後期研修医向け
脳神経外科学
★オススメポイント★
・入局を決めたら必携
・辞書として使える
とても分厚く脳神経外科の辞書みたいなもの。全範囲について文献を交えて概説しています。
初めから全てに目を通すというよりは、概要を理解するときと、わからないとき・思い出すときに辞書代わりに調べるのに役立ちます。おそらく皆が持っている。
臨床のための脳局所解剖学
すみませんが、現在取り扱いがございません
★オススメポイント★
・解剖イラストがきれい
・よくまとまっている
初版は古くても、解剖は変わりません。主要ポイントはおさえられており、何より、解剖が見やすいです。
入局時、これは必携と先輩からすすめられました。
脳神経外科周術期管理のすべて
★オススメポイント★
・内科的知識も豊富
・脳神経外科に携わるなら必携
・わかりやすい
入局当初は、私自身、本書にかなりお世話になりました。
脳神経外科は、手術のみならず、患者の全身管理や内科的治療も行います。
本書は、周術期管理を中心に、疾患全体を把握しており内科的治療も豊富。病態・治療についてわからないことは、上司に聞く前に本書で調べると理解しやすいです。
よくわかる脳MRI
★オススメポイント★
・脳MRI熟知ならコレ
・鑑別診断までわかりやすい
・見やすい
先輩に脳MRIの良書はコレと勧められました。
実際、臨床において、画像で鑑別診断を考える際に役立ちました。かなり詳しく、様々な疾患・マイナーな頭蓋内病変まで扱っており、辞書としても使用できます。
画像の特徴を淡々と述べるのではなく、疾患の概要や鑑別ポイントも述べているところがすばらしい。
新脳神経外科手術のための解剖学
★オススメポイント★
・術野の解剖がわかる
・術前予習のために
・オペレコを書く際の参考に
術野を見て、どんな構造物が目の前にあるのかを把握できなければ、手術はできません。
手術はまず予習から。手術の手順とともに、このような術野が展開される、ということを視覚的にわかりやすく解説しており、見やすいです。
術前はもちろん、術後の復習にも役立ち、オペレコを書く際の参考にもなります。
脳卒中の外科エキスパートを目指す侍たちへ
★オススメポイント★
・脳卒中の外科を目指すなら
・見やすくわかりやすい
新しい本で、非常に術野がきれいで見やすく、わかりやすいです。脳卒中の外科を究めるならば、このような本が一冊は必要でしょう。
パーフェクトマスター脳血管内治療必須知識のアップデート
★オススメポイント★
・血管内治療医を目指すなら必携
・詳しくわかりやすい
脳血管内治療に携わる・脳神経血管内治療学会専門医を目指す場合、必携。
サブスペシャリティとして血管内治療を選択しない場合は、優先度はやや下がりますが、
本書は血管内治療の解剖学的知識、脳血管造影セットアップ、脳血管内治療のいろはも、項目ごとに解説しており、ボリュームも十分かつわかりやすい内容なので、辞書かわりにもなるため、オススメです。
血管内治療でわからないことがあれば、本書を調べて対処できることが多いです。改訂されており、血管内治療のことは十分勉強できる内容となっています。
改訂2版「超」入門 脳血管内治療
★オススメポイント★
・脳血管内治療の第一歩に
・会話形式でわかりやすい
・実況解説動画つき
脳血管内治療を行うための入門・はじめの書籍として最適。
指導医と後期研修医・中堅医の会話形式で解説されているため、非常にわかりやすい。
脳神経血管内治療の口頭試問対策にも利用できます。実際の症例を写真とイラスト付きで解説しているのも良い点です。
血管内治療のための血管解剖 外頸動脈
★オススメポイント★
・血管内治療をするなら
・外頸動脈に強くなれる
脳血管造影検査では、内頸動脈・外頸動脈撮影をする機会は必ず訪れます。
しかし、血管解剖がわからないと苦痛なのです。本書は、実際のキレイな脳血管造影を載せ、どの血管が何動脈か、細部まで記載しています。また、文章で、血管解剖を解説しています。
私自身は、脳神経血管内治療専門医試験対策として、本書を利用しました。ずっと使える本です。
▼脳静脈編もあります。
頭部外傷治療・管理のガイドライン第4版
★オススメポイント★
・頭部外傷診療のバイブル
頭部外傷はメジャーで必ず診療することになるので、治療の指標として参考になります。
改訂2版「超」入門 脳神経外科術中モニタリング
★オススメポイント★
・術前モニタリングのセットアップを把握できる
・動画つき
脳神経外科の手術を行う際、脳機能評価として、運動誘発電位MEP(motor evoked potential)など術中モニタリングを行うことが多いです。
何を目的に、どうセットアップするのか、具体的にはどの位置に電極を置くのか、どう評価するのか、それを動画つきでわかりやすく解説しています。
術中モニタリングについては、脳神経外科専門医試験で知識として問われます。
脳腫瘍臨床病理カラーアトラス第4版
★オススメポイント★
・脳腫瘍の病理はコレ
・写真がキレイで見やすい
脳神経外科専門医を目指すなら、脳腫瘍病理の本は一冊は必要になるでしょう。
本書は、日本脳腫瘍病理学会が出版しているもので、脳腫瘍のコア画像はすべておさえられます。
病理が苦手すぎて、もっと初歩的な本をお求めであれば、『脳腫瘍病理入門Q&A200:HE染色が読める!診断できる!苦手な病理がコワいくらいわかる!』が非常にわかりやすくオススメなのですが、あまり出回っていないようです。
脳腫瘍診療ガイドライン2019年版
★オススメポイント★
・脳腫瘍診療に携わるなら必携
・わかりやすい
脳腫瘍が将来の専門でなくても、後期研修医はどの分野も幅広く学ぶ必要があります。
本書は、わかりやすくまとめられているため参考になりました。
小児脳神経外科学
★オススメポイント★
・小児脳神経外科を学ぶならコレ
・かなり詳しい
小児脳神経外科を専攻されている先輩よりオススメされました。詳しいです。
脳神経外科専門医試験対策としても活用できました。
まとめ
脳神経外科研修医向けオススメ参考書をまとめました。
サブスペシャリティをすべて網羅できておりません(特に機能外科、脊髄脊椎分野)ので、先輩医師からのオススメ書籍を参考になさってください。