今回は、「後期研修時代の忙しいドタバタエピソードと、乗り越えるワザ」を語ります。
ドタバタエピソード
エピソード1)
患者説明の予定時間と緊急手術患者の対応が重なった!!
それは、忙しい午後のおはなし。
救急外来で、意識障害・嘔吐の患者さんを診察していた。
意識も重症だし、これは手術かも!と思って、頭部CTをみると、やはり「緊急開頭手術が必要な小脳出血」だった!
バッタバタでオペ場の段どり(手術となるとやることがいっぱい)をしているときに、ピッチ(PHS)が鳴る!
病棟から「患者さんのご家族が待合室で待機しています」
忘れてはいなかったが、ピンチ!「頸動脈ステント留置術」の術前説明の予定時刻だ。
身体ひとつしかないのよね…
ヘルプミー
主治医なので、行かない選択肢はない。
血管内治療のオーベン(説明に同席する指導者)に連絡!「救急対応中で、すぐ向かいますが、少しお待ちください」
そして、上司に連絡!事情を話し、救急患者の対応を引き継ぐ。
心臓はドキドキしっぱなしなのに、「お待たせして申し訳ございません」と、冷静に術前説明をした私。
エピソード2)
このタイミングでくも膜下出血?!
しばしば経験する「タイミングがわるい」
当直・オンコール(待機)を経験したことのある医師なら、わかっていただけるはず。
それは、午前中外来担当のある日。
当直明けで、病棟回診を終えたあと、ピッチが鳴る!
「重症くも膜下出血」の患者が救急外来に搬送されたのだ。
当然、初期対応をしたのだが、外来が始まる時間が迫り、間に合わない。
むしろ、今から、くも膜下出血に対する緊急カテーテル治療が必要だ。
どうする⁈自分…
救急患者を他者に引き継ぐ?自分が診る?
上司と相談すると、「私が外来を担当するので、さなえさんは、救急患者の主治医になるように」と。
外来の患者さんには、申し訳ないが、くも膜下出血患者を担当することになった。
対応は病院や上司により異なります。
時間制できっちり役割分担するところもあるし、若手が手術に入れるよう臨機応変に、対応する場合もあります。
エピソード3)
救急対応があまりに忙しい日!
「ピッチが鳴りやまない、どしゃぶりのような一日」これは、研修医あるあるなのかもしれない。
救急外来で、同時に3人の救急患者を診たことがある。
Pt(Patient)1は、急性期脳梗塞
Pt2は、くも膜下出血
Pt3は、慢性硬膜下血腫
なぜに、重なっちゃう…
初期研修医の皆さまの助けがなかったら、とても対応できなかっただろう。
まず、Pt1を迅速に対応し、t-PA(血栓溶解薬)のオーダまでする。
↓
同時に、Pt2のくも膜下出血が判明したので、すぐに除痛鎮静。
↓
Pt3の慢性硬膜下血腫は、手術が必要だが少し待機してもらう。
↓
Pt3のt-PA施行・モニタリング中に、Pt2の動脈瘤部位を確認し治療方針を決定する。
↓
上司と相談の上、治療の段取りへ。
術前の説明・準備・手術など、何といっても人手確保が必要。
ピッチが鳴りやまない一日となりました。
忙しい科をこなすサバイバル術
- 緊急性が高いかを意識する
- 仕事の優先順位をつける
- 良好な人間関係を築いておく
- SOSを出す
- 感謝を伝える
緊急性が高いかを意識する
エピソード3)からいえることは、我々は「マルチタスクをこなさねばならない」ということ。
中でも重要なのは、緊急性が高い症例をふりわけて、優先することです。
エピソード3)であれば、
急性期脳梗塞は、超緊急
くも膜下出血は、緊急(鎮静後の手術)
慢性硬膜下血腫の手術は、準緊急
に相当します。
仕事の優先順位をつける
やるべきタスクを箇条書きにして、明確化します。
例えば、オペ日なら、一日中手術に費やさなければなりません。
ですので、朝、受け持ち患者を回診したら、オーダ類は全て済ませておきます。
検査の立ち合いなど、どうしてもできないことは、同僚にお願いすることも。
良好な人間関係を築いておく
自分が困ったら、やはり周囲の手助けは必須です。
普段から、周りとコミュニケーションをとり、できる人助けをしておきましょう。
後期研修医の方であれば、救急外来に頻繁に出向くと思います。
初期研修医や救急医に、自分を認知してもらい、普段からやりとりしていると、助けてもらいやすいです!
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SOSを出す
「自分のキャパオーバーだ」と思ったら、SOSを出しましょう。
お手すき医師を探す方法は「医局か詰所に電話すること」。
また、オーベンには「今、私はこれをしています」とわかるように、緊急時はピッチでいいのでお伝えします。
エピソード1)のような場合、手伝いに入っていただいた上司には「救急外来を離れて、病棟へ行きます。ムンテラしてから、オペ場へ直行します」と言います。
感謝を伝える
後からでもいいので、「ありがとうございました」と、ひとこと言えると、印象がいいですね。
……あ、ごめんなさい!!
今回、忙しいドタバタエピソードを集めたから、こんな内容になってしまいました。
もちろん、穏やかなときもありますし、救急対応は当番制なので、フリーな時間も確保できます。
そして、脳神経外科医のプライベートもかなうので、どうぞお忘れなく。
まとめ
・ドタバタエピソード
・忙しい科をこなすサバイバル術
について、お話しました。
きっと他科もお忙しいでしょう。どの科に進まれても、メリハリをつけて、充実した日々を送れるとよいですね。
もし悩まれたら、当ブログに戻ってきてね。
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