育児中女医にとって、「ワークライフバランスが実現する」ことは難しく、課題です。
私(脳外科医)自身、育児中のため、今後の働き方を真剣に悩んでいるひとりです。
子育て女医が医局をやめ転職する理由。それは、今の職場で働き続けるのが難しいから。
どんな問題点があり、どう対処すべきなのか、詳しくお話します。
ワークライフバランスとは
ワークライフバランスとは、「仕事と生活の両立」を指します。
子育て女医が転職する理由
それは、今の職場で働き続けるのが難しく、ワークライフバランスが実現できないから。
なぜ働くのが難しいかというと、問題点があるからです。
問題点
どんな問題点があるか。
- 子どもの預け先事情
- 家族周囲のサポート
- 勤務体制・勤務内容
- 職場の理解が得られない
子どもの預け先事情
保育園・幼稚園・小学校など、子どもの預け先の事情があります。
例えば、病児保育ができない保育園の場合、子どもが急な病気になったとき、自分が仕事を休んでお世話をしなければなりません。
あるいは、お世話を家族や他者に依頼し、病児保育できる場所を探さねばなりません。
夜間保育がなければ、当直業務ができず、当直をする場合は家族の協力が必須です。
保育園によっては、慣らし保育、お盆休み、警報時の休園がありますし、今の時世では新型コロナ感染による学級閉鎖など、「通常勤務ができなくなる」事情があります。
家族周囲のサポート
「育児をしながら働く」ことは、ひとりでは不可能です。子どもの送迎や、病気などの緊急呼び出しの対応も誰かが対応せねばなりません。
さらに、介護が必要・シングルマザー・夫が単身赴任など、各ご家庭の事情があります。
ですので、育児と仕事が両立できる家族周囲のサポートを整える必要があるのです。
勤務体制・勤務内容
勤務体制が難しく感じるのは、当直・オンコール・時間外勤務です。
例えば、オンコール。緊急呼び出しがあったとき、対応せねばなりませんので、ワンオペのときは不可能です。
勤務内容に関しては、例えば、手術です。
脳神経外科の例ですが、救急外来を17時まで担当したとして、緊急手術が必要な患者さんが搬送された場合、自分が手術を担当することになります。
しかし、手術は短時間では終わりませんし、術後管理もあります。帰宅時間は不明で、育児は担当できません。
職場の理解が得られない
育児は経験がないと、大変さがわかりません。育児中ということに、職場の理解が得られないと、肩身がせまくなります。
悲しいことに、パワハラやセクハラを受けた女医さんもいます。
どうしても、仕事に支障をきたし、ご迷惑をかけることもあるかもしれません。
女医さんは、申し訳なく思いながらも、育児と仕事を両立させるために奮闘しています。
関連記事:育児中女医。ホントに職場の理解は得られる?実際の取り組み例を紹介
このように、仕事と生活を両立させるためには、これらの問題点を解決する必要があるのです。
解決策
問題をどうすれば解決できるでしょうか。
- 各自ができること
- 医局や病院ができること
に分けてご紹介します。
各自ができること
- 適切な預け先を選ぶ
- 家族周囲のサポートを整える
- 勤務体制・勤務内容を変える
- 相談する
適切な預け先を選ぶ
まずは、情報収集。市役所で、募集要項や保育園・幼稚園の一覧をいただけます。子育て支援センターも利用してみてください。
病院の託児所事情はどうですか。保育園のホームページを確認し、夜間保育・病児保育・定期休園日など、必要事項を確認しましょう。
不明点は問い合わせ、候補がしぼれたら見学します。
家族周囲のサポートを整える
夫とスケジュールをシェアし、育児分担を決めましょう。祖父母が近隣にお住まいでご健在なら、どの程度ご協力いただけるか確認します。
外注による第三者の協力を依頼すべきか、考えましょう。具体的には、ファミリーサポート、家事代行、ベビーシッターなどです。
<ファミリーサポートセンター>
子育ての支援をしてほしい方(依頼会員)の依頼に応じて、子育てのお手伝いができる方(提供会員)を紹介し、一時的にお子様を預かる事業。
<家事代行>
家事の全般・一部を外部に委託。
<ベビーシッター>
担当者に家にお越しいただき、乳幼児のお世話を代理でしてもらいます。
お試しができる場合は、一度利用されることをおすすめします。
▼掃除
【お掃除マスター】
毎月お得なキャンペーン実施!【セゾンのハウスクリーニング】
なぜなら、利用方法が確認できる、合う・合わないを見極められるなど、メリットがあるからです。
勤務体制・勤務内容を変える
希望はいかがでしょうか?ご自身に合った働き方 を検討しましょう。
▼転職もひとつの選択肢。先輩の体験談をご覧ください。
子育てと仕事を両立できた女性医師の転職成功例!先輩女医の体験談
相談する
ひとりで悩みがちですが、家族・先輩・上司に相談してみましょう。
周りに育児中の先輩女医がいらっしゃれば、意見を聞いてみると、アドバイスしていただけるかもしれません。
日本医師会女性医師支援センターでは、相談窓口を設けています。ぜひご利用ください。
ご相談はこちら | 日本医師会女性医師支援センター
転職をお考えなら、企業のエージェントの方と無料で相談することもできます。
医師転職支援サービスの【JMC】では、一人ひとりに向き合いきめ細かく対応。お気軽にお問合せを。
医局や病院ができること
- 従業員の相談にのる
- 多様な働き方を認める
- 当直や残業を削減する
- 魅力的な雰囲気を作る
- 勤務体制を整える
- 託児所を設置する
従業員の相談にのる
まずは、産後復帰した女医さんにお声かけください。
困っていることを掘り下げて、相談にのっていただけると助かります。
多様な働き方を認める
従業員の希望を聞き、それができるだけかなうようにご配慮いただきたく存じます。
外来のみを担当したり、手術を見学、再研修したり。無理のない範囲でスキルアップできるようにご支援いただきたいです。
当直や残業を削減する
時間に制約があるのは、申し訳なく思いますが、育児の都合上、やむを得ない事情もございます。
女医さんから残業や休日出勤・当直免除の申し出がございましたら、削減をご考慮いただければ幸いです。
医局の都合もあり、免除が困難な場合は、いくつか案をご提示いただければ、家庭の調整で可能な限り対応します。
魅力的な雰囲気を作る
医局員が多いと、人事配置も行いやすく、欠員も補充できます。
医局員を増やすためには魅力的な医局にする必要があります。
例えば、
・和気あいあいとした雰囲気
・指導熱心
・明るいカンファレンス
・全員がリフレッシュ休暇をとる
・スポーツクラブがある
・『ロールモデルを設定する』
工夫次第で、相談しやすい・働きやすい環境ができるでしょう。
勤務体制を整える
今の勤務体制では、育児中女医も、上司も医局員もアンハッピーで働きにくい環境なのではないでしょうか。
個人的な意見ですが、フレキシブルに働ける環境やシフト制、チーム制など働き方改革の導入で改善できれば理想です。
例えば、
・手術で帰宅できない日もあることを考慮し、手術のない日や救急外来担当外の日は早退可能とする
・夕刻から夜間のいわゆる準夜帯の勤務時間を設け勤務をシフト制にする
など、女性も男性も育児に参加でき、かつ仕事もできる体制が整うことを望みます。
託児所を設置する
大きな病院であればあるほど、多くの医療スタッフが必要で、福利厚生の充実は最重要課題といえます。
私自身、病院の託児所の恩恵を受けており、可能であれば、託児所の設置が望ましいと考えます。
女医さんに求められること
ホウレンソウ
子どもを預けて働くためには、職場の理解は不可欠です。
子どもの看病による休みの取得、遅刻早退、業務引継ぎなど、きちんと報告・連絡・相談しましょう。
謙虚な姿勢と意欲
欠勤した場合は、他の医師が代理を務めます。感謝し、勤務中はできる仕事を率先して行いましょう。
自己を見失わない
ブランクがあると、後輩に追い越され、実力負けすることが実際にあります。悲しくなることもあるでしょう。
でも、自分は自分。時間がかかっても、取り戻せばいいし、仕事をしていること自体に誇りを持ちましょう。
転職活動について
どうしても今の仕事が続けにくい場合は、転職を検討することになるでしょう。
▼転職のメリット・デメリット
子育てと仕事を両立できた女医の転職成功例
転職サイトに登録するメリットは、
・他の働き方を検討できる
・自分らしい働き方が見つかる
・非公開求人を知ることができる
・エージェントに相談できる
・手続きを代理してもらえる
これらが無料でできることです。
医局に属しながら、いざというときのお守りとして利用することができます。
まとめ
育児中女医が転職を考える理由と問題点・解決策についてお話しました。
少しでもご参考になりましたら幸いです。