職種に関わらず、育児をしながら働くには、職場の理解が重要です。
保育園への送り迎え、病児の対応など、仕事オンリーではないからですね。
・ホントに職場の理解は得られるのか
・自分らしく働くためにはどうするか
本人にとっても職場にとっても、気持ちよく働くためには、どんな工夫ができるのか、実例をもとにお話しします。
★大事な要点★
・働き方を考える
・自身の希望を伝える
・ホウレンソウをする
・感謝する
・できることを率先する
育児中の勤務で何が必要?
1位:職場の理解・雰囲気
2位:短時間勤務制度
3位:当直・時間外勤務の免除
4位:配偶者や家族の支援
5位:勤務先の託児施設
出典:平成25年臨床研修修了者アンケート調査(厚生労働省)
当直・オンコール免除の希望があれば『女医出産後の働き方。当直・オンコールが免除される職場探し』を参考に。
実際、職場の理解ってどう?
職場環境(勤務体制・職員数・役割など)、上司や周囲の理解度によって異なります。
育児事情がわかる、実際子育てを経験した・している上司・職員であれば、理解してくださいます。
一方、子育ての経験がない、ほとんど関与していない場合、理解を得にくいです。
例えば、子ども事情で欠勤したら、
「そんなに頻繁に休む?」
「他に任せればいいのでは?」
と、思われます。
また、欠勤時の対応を他のスタッフが担当するので、どうしても印象ダウン…。
いやみ・ねたみ・パワハラを受ける事例も。
発熱・下痢など子どもが病気になると、治るまで、1週間ほどかかるのです…。
もちろん、病児保育を利用することもありますが、胸が痛い。
職場の取り組み例
皆が気持ちよく働ける職場にするために、どんな工夫ができるでしょう。
実際に取り組まれている、消化器外科の例をご紹介します。
▼2019年女性外科医の育成とワークシェア・ワークライフバランス
190324ccen_lect.pdf (kpu-m.ac.jp)
★よいと思う点★
・ヒアリングを徹底している
・希望に沿うよう行動している
・チーム制にしている
ヒアリングを徹底している
評価すべきは、育児中如何に関わらず、医局員全員と密にコミュニケーションをとっている点です。
意欲さえあれば歓迎し、医局員が別の環境に移っても、活躍を見守る姿勢がすばらしい。
若手女医からの苦情まで様々ですが、医局員がどんな思いで仕事をしているか、どんな問題点があるかを把握しています。
希望に沿うよう行動している
ヒアリング後、できるだけ個人の希望がかなうように、訓練する場を提供するなど、行動しています。
ここまでする?と思うくらい活動的です。サポートのおかげで、魅力的な医局になるのでしょう。
実際、女医さんに人気の医局のようです!
チーム制にしている
時間の制約がある中、術者を担当させる。緊急時の対応ができないこともある。
すなわち、チーム制でなければ、成り立たないことです。
うまく配置を行い、協力体制をとっているのでしょう。
問題点
よい点だけでなく、難しい課題もあります。
不公正さが浮き彫りに?
いやみ・ねたみが生じるのは、周りが不公平に感じ不満が生まれるからです。
育児中女医への処遇に対し、「あの先輩だけずるい」と思うこともあるでしょう。
なぜなら、多くの当直や残業をこなし、術後管理、代理を務めなければならないから。
当直が回せなくなる?
全てを受け入れると、将来的に、育児や介護で同じような境遇になった方も、当直免除を望むでしょう。
希望をかなえつつも、周りにもメリットがある方法(せめて報酬UP、術者のチャンスが多いなど)を模索する必要があります。
あるいは、当直免除ではなく、月1回は担当するなど、どこかで妥協しないといけないでしょう。
だから当直できなければ、クビ宣言することもあるのでは…。
このように、職場の理解を得るといっても、様々な問題があるのです。
育児中女医さんができること
- 働き方を考える
- 自身の希望を伝える
- ホウレンソウをする
- 感謝する
- できることを率先する
1、働き方を考える
常勤(当直ありなし)、非常勤、時短勤務など、働き方 を考えましょう。
▼常勤当直あり
呼吸器内科医ひとみさん
内科女医ママ、復職した後の戦い方
▼転職例
子育てと仕事を両立できた女医の転職成功例!先輩の体験談
▼様々な体験談
育児と仕事を両立させる工夫とは?先輩女医ママ体験談
2、自身の希望を伝える
キャリアプラン・なりたい自分を考えることは大切です。
たとえ、希望がかなわない場合でも、将来的にどうしたいか、今はこんな希望があると、ご自身の意見をいえるようにしましょう。
復帰後の働き方を上司と相談し、職場との合意を形成しておきます。
▼がまんしてしまった事例
自己犠牲をやめたら人生が好転~女性医師が伝えたい幸せの法則~
3、ホウレンソウをする
遅刻早退などやむを得ない事情があれば、申し出ましょう。
病児を自宅看病する場合、経過を報告することで、勤務再開の見通しがつきます。
勤務日1日前には、連絡を入れましょう。
4、感謝する
毎日、仕事も育児も手一杯。
そんな中、家族・外部リソース・周りの職員に手伝っていただいて、成り立っています。
十分感謝しているとは思いますが、言葉で伝えることはとても大事です。
5、できることを率先する
限られた勤務時間に、できる仕事を率先して行いましょう。
同僚の雑用を手伝う、何でも構いません。
普段お世話になっている分、役に立てることがないか、探してみましょう。
理不尽な対応をされたら
・無理難題をつきつけられた
・パワハラ・マタハラをうけた
・無視され疎外された
・希望がみられない
▼マタハラの実例
女性医師支援情報サイト:うまくやれる? 職場の人づきあい
▼関連記事
医師が上司から理不尽なことをいわれたら。どう対処すべきか?
ひとりで悩みがちですが、努力しても、万一理不尽な対応をされたら、まずは相談してみてください。
相談窓口
・勤務先の相談所:
産業医やワークライフバランスセンター
・ハラスメント相談窓口一覧:
相談窓口のご案内|あかるい職場応援団 -職場のハラスメント
・女性医師相談窓口:
ご相談はこちら | 日本医師会女性医師支援センター
解決しなければ、ガマンする必要はありません。その職場をやめることを考えた方がよさそうです。
もし転職を考えたら『子育てと仕事を両立できた女医の転職成功例』を参考に。
まとめ
・実際職場の理解はどう?
・職場の取り組み例
・育児中女医さんができること
・理不尽な対応をされたら
についてお話しました。
ご参考になりましたら、幸いです。