いつもご覧いただきありがとうございます!最近いかがお過ごしですか?
私(プロフィール)は、ここ数ヵ月ずっと考え事をしており…ホントに眠れないほど!今日はそのお話をしてみようと思う。
女性医師の離職率は約50%
この数値を知ったとき、正直驚きました。私自身、育児を契機に離職したので、他人事ではなかったのですね。
下記の論文では、離職時期は卒後10年以内が92.4%、離職理由は出産・育児が51%であり、ライフイベントが離職の一大要因となっています。
さらに、初回離職時82%が復職を希望しているにも関わらず、一度離職すると3割しかフルタイム勤務に戻らない。
キャリアか子どもか、諦めるか?など女性医師の課題は深い
参考:女医が妊娠を悩むワケ
背景:女性医師の割合
女性医師は近年緩やかに増加傾向であり、令和2年度女性医師の割合は全体の23%。
しかし、世界的にみると、OECD諸国の36ヵ国中最低。2018年一部の医学部入試大学において女性合格者の数を意図的に抑制していたことは、衝撃かつあまりに悲しい出来事でした。
診療科の医師偏在も課題であり、外科系医師は少ないのですが、女性医師が占める割合は少ないながらも増えつつあります。
出典:論文 女性医師の活躍を阻むものはなにか|日本労働研究雑誌 2020年9月号(No.722)
関連記事:女性の多い診療科は?各科の女性医師の活躍を増やす取り組み
なぜ離職率が高い?
1、ムリな勤務体制
2、知識技術の維持が困難
3、身近にメンターが不在
ムリな勤務体制
医師の働き方改革のおかげで、複数主治医制(チーム制)やシフト・フレキシブル制度を導入している病院もありますが、病院間や診療科での格差が大きい。
もし主治医制であれば、24時間オンコール体制なので、ワンオペ育児中に電話が鳴る「今すぐ来てください!」手術になる…。対応困難は容易に想像できますよね?
当直・オンコールの免除、時短勤務など柔軟な勤務体制が整っている病院は、限定的なのです。さらに、育児制度、保育のサポート、職場・家族の理解協力などが影響します。
復帰したいと思っても、両立困難なために現場に戻りにくい。(もちろん常勤・当直ありに奮闘する女性医師の方もいらっしゃいます!し私も戻ります)
知識技術の維持が困難
医療の進歩は日進月歩。休職・離職している間にもどんどん新たな治療法・医療機器・薬が出てきます。「それらを継続して学ばないと、取り残される」ブランクが長くなるほど不安になってしまうのです。
すなわち復職支援に乏しいと感じています。ハンズオンセミナーの機会はほとんどなく、オンラインセミナーでさえも参加しにくい。
例えば、企業共催セミナーなどは定期的に開催されるのですが、たいてい18、19時で子どもの夕食タイムと重なります。もし、アーカイブを残していただけると、すきま時間に学べるのですが(今度申し出てみよう)
私も臨床のブランクができたので、まずは元のレベルに戻ること×新たな知識技術の習得に努めていきますね。
身近にメンターが不在
あなたには、身近にメンターやロールモデルはいらっしゃいますか?近しい先輩で頼れる方はいかがですか?
初めての育児は孤独になりがちで、ママ友の診療科も違うし、キャリアのことを相談したくても、私には、いませんでした。
もちろん、自分でよく考え家族と相談をしましたが、もし頼れる方がいらっしゃれば、どんなに心強いかと思います。
逆に、今ならば「同じように悩んでいる女医さんへ、私が微力ながらお役に立てるなら」という思いです(そのためのブログ)
改善に向けてなにが必要?
国や都道府県の施策
実は、国主導および政府委託事業で、女性医師を支援する取り組みは進行中。詳しくは女性医師キャリア支援モデル普及推進事業の成果と今後の取組について 。
一方で、離職中女性医師へのアプローチは困難との意見が。
解決策
1 柔軟な勤務体制
2 キャリア支援
3 組織全体の問題の共有と啓発
1 柔軟な勤務体制
育児休業(育休)取得とも関わるこの問題。(実は、制度がない・上司の理解を得られないために、育休を希望しても取得できなかった女性医師は約50%います。異動で育休給付金対象外のことも多い)
時短勤務や当直免除などの制度整備と人員確保。各病院で、職員のヒアリングをもとに多様な働き方を認め、柔軟な勤務体制(チーム制・当直・シフト・フレキシブル制・リモートワーク)が整うことが第一です。
タスクシフト・シェア、勤務時間内のカンファレンス実施や、当直明けの手術や勤務の制限など、医師の働き方改革の推進により、少しずつ変わりつつあるとは思います。
タスクシフト例:脳卒中診療看護師
2 キャリア支援
女性医師の専門性を高めるキャリア形成期と出産・育児時期が重なることが、キャリア形成を阻む要因なので、休職(離職)時期に、必要なサポートを受けられることが有用だと思われます。
例えば、仕事面では、復帰後の働き方や今度の目標、専門医取得に向けての学習など。
この時期だけにとどまらず、医学生、研修医、中堅ベテラン、その時々で壁にぶつかり悩みは出てきます。
仕事がつらい、周りとソリが合わない、何科に進もう?、独立したいが専門医取得が先か、転職すべきか、自分の病気やケガ、家族の介護、育児と仕事の両立など…
今はコーチングが受けられる時代。そんな悩みに適切なアドバイスが得られ、キャリアの見通しが立ち、目標を持ち続けながら、納得した人生を歩める。そんな未来があれば。
関連記事:
女医のキャリア|プロフェッショナルとして活躍しつづける方法とは?
女医のキャリア|出産後モチベーションが低下したら、どう対処する?
3 組織全体の問題の共有と啓発
とても重要なポイントだと思います。育児に関しては、当事者になったからこそわかることがあり、上司が育児をしたことがなければ、理解を得にくいのも事実。日常目の前の仕事に精一杯で、課題に気づいていない。
それでも、相手の立場に少し意識を向け、医師の相互扶助・コミュニケーションで、お互いがもっと気持ちよく働けるのでは?
また、「本当は育児にもっと参加したい」と思っている(けど言えない)男性医師もいらっしゃいます!ぜひ、男性育休を取得し貴重な経験をしてください。(女性医師のパートナーは、男性医師が70%なので、女性のキャリアにも影響します)
関連記事:
男性医師の育休取得率が低い理由
育児だけでなく、ダイバーシティを推進し、誰もが自分らしく働ける社会を望みます。
ダイバーシティとは、「多様性」や「多様である状態」という意味の言葉です。これを社会や組織に当てはめると、「社会や組織に多様な人々が存在している状態」だと言い換えることができます。
今の医療のあり方や医師の働き方を当たり前と捉えず、多様な人が関われるシステムを作っていこうという取り組みは、結果的に医療の新たな可能性を生み出し、持続可能なシステムが形成されることにつながっていくはずです。
医療の世界が多様性を受け容れる持続的なものに変わっていくことは、医学生の皆さんにとっても有益なことであるはずです。
皆さんの中には将来、子どもを持つ人もいるでしょう。親の看病・介護をする、自分自身が身体障害を持つ、がんに罹ることもあるかもしれません。単にちょっと休みたくなったり、音楽活動など医師以外の活動にも本格的に取り組みたくなったりするかもしれません。
このように、様々な属性を新たに獲得したうえで、それでも医師として充実感を持ちながら働き続けられる。そんな懐の深いシステムがあったら、素敵だと思いませんか?
ダイバーシティってなに? | DOCTOR-ASE
なぜ、眠れないほどに?私の思い
ブログを書くという作業は、読者の悩みにフォーカスを当て、解決策を自身の経験を交えながら語ることでもあります。
政府の取り組みや論文などをいろいろ調べる中で、「もっとこうしたらいいのでは?」と感じ、いい取り組みをしている大学をみては、「それをもっと広めればいいのでは?」と、沸き上がる思いが出てきました。
ある論文では「常勤でいることが大事で、そのためのサポートが必要」と。そのときは、フムフムと理解したつもりでしたが、個人の価値観は皆違いますよね?
ライフイベント等で困難な事情も出てきますし、常勤でなくても、やりたい・なりたい思いを大切にして、医師としてどのような形でも、自分らしく活躍し社会貢献ができればいいのではないか?と思うのです。
妊娠出産時期のことも、私こそ仕事を優先して先延ばしにした経緯があるので、ためらい・罪悪感には共感できます。
しかし、何とかなる(いろんな荒波はあっても)し、育児からはかつて想像できなかった学び・楽しみ・愛情などが得られ、女性医師はそれを診療に生かすこともできます!
ですので「将来を不安に思い悩む女性医師がひとりでも減ったら、そのためにどうすべきか?」と考えて眠れなかった。
先輩からのメッセージ
1、多様な働き方を知ろう!:行政・研究・教育という分野で医師のスキルを発揮することもできます。
2、他科・多職種連携が解決の糸口!:周産期医療支援機構の取り組み。
3、出産・育児をプラスに捉えよう!:私も楽しい育児をマンガでお伝えしています。
いつも勇気をいただいています。ぜひご覧ください>>女性医師の離職率を改善するために ―専門医や職種を超えた対策_吉田 穂波 | coFFee doctors
まとめ
・女性医師の離職率が高いワケ
・できる改善策について
お話しました。皆さまのご意見をぜひお寄せください。
◆女医さんの働き方のヒント
◆ご意見・ご相談はコチラ